最近特に多いと感じる案件の一つで、青年期以降判明した発達障害での障害年金請求を検討されているということをお伺いすることがあります。
この場合、知的障害での障害年金の請求と異なり、初診日の証明が必要となります。
ほとんどのケースで、医療機関の支援相談室等、年金事務所にご相談いただいた後に、手続きの課程で何らかの支障が出た後に、ご相談いただくことが多いです。
発達障害は最近でこそ、広く知られてきていますが、初診日が数十年前等の20歳前の場合などは、当時は傷病名自体が異なることが多いですし、はっきりと傷病名を言われていない、またご記憶がない場合すらあります。
初めて受診したのは幼少期だが、受診していた病院自体が、初診から~20歳までの間すべてが廃院または、カルテが残ってない場合も多く
このようなケースは参考資料集め等で大変な労力を必要とする場合もあります。
診察券や、紹介状や診療録の写し等の非常に有効な物を残されている場合は比較的手続きもスムーズですが、年数経過もしていることが多いので、現存し所持されていることの方が稀ではと思います。
別の参考資料を探すことはもちろん、参考資料と併せて、または単独で『初診日に関する第三者からの申立書』が必要とのなることが多いのも発達障害での請求の難しいところではあります。
原則二人以上の三親等以外の方から、書いていただくようになります。
当時受診していた医療機関の直接ご自身の治療に関わられていた、医師や看護師の方からの証明であれば、非常に有力な証明となります。アメーバー参考ブログ http://ameblo.jp/oitanakats-shougainenkin/entry-12166940503.html
(但し当時の受診状況を知る方がいない、見つからない、ご家族が誰にも話していない等のことも度々あるかと思います。)
ご両親、ご兄弟、ご親族等と密に連携し業務を進める必要があるケースがあります。
当初は誰も証明を記載していただける方がいないと、言われていても確認していく中で、見つかることもあります。
ご協力者がいらっしゃらないケース等は、慎重に、より回数を重ねての面談及び確認が必要になります。
また病歴就労申立書の一部は
書き方としては
「記憶がない幼少期の詳細は不明ですし、当時を知る両親や親族は現在はおりません。記憶として残っているのは、小学校の頃担任より指導上で確認したいことがあるので、一度専門の医療機関を受診するよう言われて、両親と⚪⚪病院を受診したことが最初です」など、記入するしか無い場合もあります。
あまりご自身単独でご依頼いただくケースは少ないですが、個人情報の観点から、ご本人と電話代わりながら、地域の可能性のある病院を探したり、関係者を探したりということも必要になりました。
この場合は時代が時代ですので、不審に思われないよう出来る限り、礼節を尽くし、事情を説明する必要があります。社労士の徽章もこの時はありがたいです。
本来このようなケースこそ、積極的にサポートすべきですが、出来たら遠縁にあたる方、当時を少しでも知っている方にでも間に入っていただけたら、ありがたいというのが本音ではありますが・・・。(意外とよくよく話し聞くと、実はいらっしゃるのに伏せていたり、就労継続支援の職員の方のご協力快く受けていただけたりとすることもあります。)
また違う事例では、成人するまで全く病気という認識がなく医療機関への受診も当然なく、数年前にお身体に異変感じ受診し、その時に初めて発達障害との診断を受け、ご家族共々驚かれたとお伺いするなどもあります。
知的障害での請求と異なり、初診日の特定が必要である以上、初診日が厚生年金加入中ということも当然あります。
その場合は障害厚生年金での請求となります。
参考
日本年金機構認定基準
発達障害とは、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものをいう。
発達障害については、たとえ知能指数が高くても社会行動やコミュニケーション能力の障害により対人関係や意思疎通を円滑に行うことができないために日常生活に著しい制限を受けることに着目して認定を行う。
発達障害は、通常低年齢で発症する疾患であるが、知的障害を伴わない者が発達障害の症状により、初めて受診した日が20 歳以降であった場合は、当該受診日を初診日とする。
日常生活能力等の判定に当たっては、身体的機能及び精神的機能を考慮の上、社会的な適応性の程度によって判断するよう努めるとされています。
就労支援施設や小規模作業所などに参加する者に限らず、雇用契約により一般就労をしている者であっても、援助や配慮のもとで労働に従事している場合等労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず、現に労働に従事している者については、その療養状況を考慮するとともに、仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況等を十分確認したうえで日常生活能力を判断するとされています。
発達障害とその他認定の対象となる精神疾患が併存しているときは、併合(加重)認定の取扱いは行わず、諸症状を総合的に判断して認定となります。